肺がんについて
早期の自覚症状は無く、死亡者数の上位を占める肺がん。
がんは日本人の死亡原因のトップですが、その中で上位に位置しているのが肺がんです。(国立がん研究センター「人口動態統計によるがん死亡データ1975年〜2014年」)
肺がんは発生場所によって末梢型肺がん(肺野型肺がん)、中心型肺がん(肺門型肺がん)に分類されています。
末梢型肺がん(肺野型肺がん)は、肺の奥にある細い気管支や肺胞にできるがんです。
喫煙影響が多い人も、少ない人も、両方できます。

中心型肺がん(肺門型肺がん)は、肺の入り口に近い太い気管支にできるがん。喫煙が原因となること多い、肺がん。咳や痰が続いたり、痰に血が混ざる症状が、比較的早い段階からみられます。

肺がんの初期段階では多くの場合、何の症状もありません。従って、がんを早期発見する為に検診を受けることが必要です。特に喫煙・非喫煙に関わらず50歳以上の方は、年に1回の検診をお勧めします。
併せてタバコを吸う方や過去に喫煙歴のある方は更に、年1回の喀痰細胞診をお勧めします。

またタバコを吸う方の他に、受動喫煙等で肺がんを心配する方や、可能な限り初期段階で肺がんを発見したい方はマルチスライスヘリカルCT検査がお勧めです。
マルチスライスヘリカルCT検査とは、高精度の低線量マルチスライスヘリカルCTによる、最新の検査方法で、胸部X線検査では発見しにくい、心臓や太い血管や横隔膜の後ろに隠れた癌と、10o以下の小さながんも発見可能です。

一般艇に企業(健康保険組合)や市区町村などで行われている検査は胸部X線検査です。こちらは肺の奥の方にできる末梢型肺がんを発見するのに適し、15o程度以上のがんを発見可能です。

また痰の中に、肺がんを疑う細胞が無いかを調べる検査が喀痰細胞診といいます。
痰の多くは、肺の入り口に近い比較的太い気管支から分泌される特徴から、中心型肺がんの発見に有効で、タバコを吸う方が対象となる検査です。

肺がんになった後、治療は手術となるケースが一般的です。また再発・転移防止は抗がん剤が中心となる傾向にあります。
手術には外科療法があり、肺の切除手術が一般的です。最も効果が高く、肺がん治療の中心となっています。併せて開胸手術と胸腔鏡を使った手術があります。
その他にはレーザー治療もあり、治療方法は光感受性物質を注射し、レーザー光線でがんを攻撃する「光線力学療法」となります。ごく早期の中心型肺がんに対し効果のある治療です。
また放射線療法は放射線でがんを死滅させる治療法です。一部のがんには「定位放射線治療」という方法も用いられ、それは放射線を多方向から1点に集中させてピンポイント攻撃する治療法です。
がんが小さく、リンパ節転移が認められないケースに限り有効。この他「陽子線治療」「重粒子線治療」といった最新の放射線治療法も注目されています。

治療の基本は外科療法(手術)であり、次いで放射線療法です。抗がん剤ですが、最初から手術出来ない方の治療として、また術後のがん再発を防ぐことを目的とし用いられます。
ある程度の進行肺がんに対しては、化学療法、放射線療法、外科療法のうち2つ以上を組み合わせる集学的治療で、治療成績を改善しようという取り組みが盛んに行われています。

新しい癌治療薬「分子標的治療薬」もあり、一般名ゲフィチニブ(商品名イレッサ、等)はがん細胞だけを中心に攻撃します。副作用が一般の抗がん剤より少ないと言われていて、がん細胞の増殖を防ごうというものになります。これまでの殺細胞性抗がん剤に比べて正常細胞には副作用が出にくいという特徴がありますが、やはり思わぬ副作用がある場合も想定し、注意は必要となります。
治療後は3〜4か月に1回通院し、定期検査を行うのが一般的となります。


乳がんについて
乳がんは30〜64歳の壮年期女性の死亡原因の上位に位置しています。
非浸潤癌と浸潤癌の二つに分かれ、小葉や乳管の中に留まっている非浸潤癌は、超早期の乳がんで転移の心配が無い為、ほぼ100%に近い確率で治癒します。
周りの組織まで広がっている浸潤癌は、血管やリンパ管を通ってがん細胞が他の臓器に転移する危険性がありますが、しこりが小さく、リンパ節に転移が無いなどの早期発見であれば、こちらも高い確率で治癒することが可能です。

ある程度、進行した段階になると全身の病気と考える必要があり、化学療法やホルモン療法が主流となり、手術では乳房温存手術が主流となっています。
乳房温存手術が困難な場合にも、乳房を術前と変わらない状態に戻す再建手術が行われています。乳がんの状態によっては行える場合と行えない場合がある為、主治医とよく相談することが重要です。再建方法によっては公的医療保険の対象になります。
また最新の治療法に「術後のホルモン療法及びTS-1内服投与の併用療法」があり、高い再発抑制効果が期待されています。

乳がんは自分の力で早期発見できる可能性のある数少ないがんです。鏡の前で乳房の大きさや形、皮膚のくぼみ、左右の乳頭の位置などをチェックしましょう。月一回では僅かな以上に気づくことは難しい為、日ごろから自己検診をして乳房の状態を知っていることが大切です。
乳がんがある程度進行してくると「乳房にしこりがある」「乳首から黄色い透明な液体が出たり血が混じっている」「茶色や黒褐色の分泌物が出た」「胸がただれ湿疹が出来ている」「乳房にくぼみができた」「左右の乳首の向きが違ってきた」「乳首が陥没した」「脇の下がグリグリする」「乳房の毛穴が目立ちオレンジの皮の様になっている」等の症状が現れます。

自覚症状の無い極小ながんを発見するには、マンモグラフィと超音波検査などの画像検査を受けることが有効となります。超音波検査はマンモグラフィでは乳がんを見つけにくい30代、40代の方などに勧められます。がんになっても落ち着いて治せる様に準備しておきましょう。

子宮頸がんについて
最近では、若い女性にも急増している子宮頸がん。
かつては60代の女性がかかりやすいがんでしたが、子宮頸がん検診受診率の高い高齢者は最近発生率が少なくなりました。一方、30代をピークに若い世代の発生率は急増し、25歳から39歳がかかる女性特有のがんの中では最も高い発生率を示しています。(財団法人がん研究振興財団「がんの統計より」)

子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によるものです。HPVは性的接触があれば誰でも感染する可能性があるウイルスで、男女に広く存在しています。HPV感染自体は病気ではないため、ほとんどは免疫機能により自然消滅します。HPV感染から癌になる割合は1000人に1人。HPVは、100種類以上の型があり、高・低リスクに分かれます。
高リスク型のウイルス感染が長期間に及んだ場合、一部が異形成という癌の前段階(前がん病変)を経て、がんに進行することが分かってきました。検診で早期発見すれば、確実に治療でき、女性にとって大切な子宮を守ることができるのです。20歳代から年に1回の検診をおすすめします。

子宮頸がんの治療は、がんの性質や進行状況によって異なりますが、外科療法や放射線療法、化学療法が中心となります。ごく早期のがんであれば、子宮を残す手術が可能です。代表的な子宮温存手術は「円錐切除手術」です。これは子宮頸部だけを切除する方法で、術後に妊娠、分娩も可能です。
がんが子宮頸部の外に広がっている場合は、広範な手術や放射線療法が中心となります。

併せて更年期、閉経後の女性は特に注意したい「子宮体がん」。
子宮の奥にできるがんで、40歳代後半から増加、50〜60歳代でピークを迎えます。しかし、近年は年齢に関係なく増加する傾向にあるので注意が必要です。
エストロゲン(女性ホルモン)によって増殖するタイプと、それとは関係なく発生するタイプに分かれます。閉経年齢が遅い、出産歴が無い、肥満などがリスク要因とされ、その他糖尿病、高血圧、乳がん、大腸がんの家族歴との関連が指摘されています。

大腸がんについて
現在日本で癌による死亡原因の第3位となる大腸がん。(国立がん研究センター「人口動態統計によるがん死亡データ1975年〜2014年」)
大腸とは、小腸から続く結腸と直腸を合わせた臓器で、結腸がんと直腸がんを総称して大腸がんといいます。
大腸がんの症状は、便に血が混じる、便が出にくくなる、排便時の腹痛、下痢をするなど排便に関わる症状や変化ですが、そうした症状が現れるのは癌がある程度進行してからとなります。
早期に癌を発見する為には、市区町村や健康保険組合の企業で行われている便潜血検査をはじめとする検診を受けることが必要です。

便潜血検査ですべての大腸がんを発見することは出来ませんが、結果が陽性の場合は大腸内視鏡検査によって詳しい検査を行います。内視鏡で管腔内を直接観察し、がんを疑う病変を認めたら組織を採取し病理組織検査を行います。
40歳以上の方は年1回「便潜血検査」を、50歳を迎えた方や大腸がんになった近親者がいる方は一度「大腸内視鏡検査」をおすすめします。

この大腸がんもがんの性質や進行度によってさまざまな治療法がありますが、原則は切除です。
代表的な治療が「外科的切除」「内視鏡的切除」「化学療法」となります。

「外科的切除」はがんを中心に腸管を切除し、残った腸管をつなぎ合わせる手術です。最近では負担の少ない腹腔鏡手術が広く行われるようになってきました。
「内視鏡的切除」は、がん細胞が粘膜層にとどまっている早期のがんの場合、内視鏡的に切除ができ、負担の少ない治療法です。
「化学療法」は術後の再発防止や転移がみられた場合などに抗がん剤による化学療法が用いられます。

外科的治療を受けた場合、5年間は定期的に超音波検査、腹部CT検査、腫瘍マーカーなどの検査を行います。術後に再発・転移があっても早期発見・治療を行い根治に繋げます。
がんの治療効果が期待されている最新の治療法に「重粒子線治療」があります。従来の放射線治療に比べ体への負担や痛みなどの後遺症が少ないことから、治療に適した局所再発がんの治療で大きな成果をあげています。
胃がんについて
肺がんに次いで年間死亡者数、第二位の胃がん。(国立がん研究センター「人口動態統計によるがん死亡データ1975年〜2014年」)
日本は、世界の中でも胃がんの発生率が高く、初期の自覚症状は無いことが多いです。
症状が表れた時には、がんが進行していることが少なくなく、治療が難しいこともあります。
その為、早期発見が重要で、早期がんであれば大半が治癒しますので、定期的な検診を行うのがよいでしょう。
胃がんになった近親者がいる方や、40歳になったら年1回の上部消化器官X線検査(バリウム検査)を、
またX線検査で異常が見つかった方や、胃の痛みや上腹部に不快感等の症状がある方、ピロリ菌感染のある方や慢性胃炎(委縮胃炎)がある方には、年1回の内視鏡検査をおすすめします。

上部消化器官X線検査(バリウム検査)は、健康保険組合の企業や市区町村等で広く行われており、バリウムと発泡剤を飲んで、胃をX線で撮影する検査です。胃の粘膜の凹凸や、胃壁の変形からがんを疑います。
内視鏡検査は、胃の中まで細いファイバースコープを挿入し、胃の粘液を直接観察します。悪性が疑われれば、組織を採取し病理組織検査をします。バリウム検査より、がんを早期に発見出来る割合が高い為、内視鏡検査が行われるようになってきました。

胃がんになるリスクが高いと考えられるこのピロリ菌ですが、強い酸性の胃の中でも生きている細菌で1983年に発見されました。
胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因の一つで、胃がんの発がんにも深く関与していると考えられています。

胃・十二指腸潰瘍の場合は、積極的に治す為にはピロリ菌の除去治療を行います。胃がん予防効果については若年の方が有効ですが、どの段階で除去すべきか等の議論があります。感染があれば胃がんになるリスクが高いと考えられる為、ピロリ菌の感染の有無を知る事が大切です。
ピロリ菌の感染の有無は、比較的簡単な検査で調べること可能で、抗生物質でほぼ除去することが出来ます。

検診の普及から、早期に発見される胃がんが多くなり、また治療技術の向上もあって、早期であれば内視鏡的に切除出来る可能性が十分あります。また外科的切除でも、腹腔鏡下で体への負担の少ない治療が行われています。切除が難しい胃がんの場合は、化学療法が中心です。最近は「TS-1」(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)をはじめ、より有効な抗がん剤が次々と開発され、QOLの改善や延命に繋がっています。

外科的治療を受けた場合、5年間は定期的に腹部CT検査や超音波検査、腫瘍マーカーなどで経過をみる必要があります。内視鏡的に切除出来た場合は、年1回の内視鏡検査で経過をみます。
早期がんであれば大半が治癒しますので、日ごろから定期的な検診を心がけるとよいでしょう。

心筋梗塞について
心臓の筋肉(心筋)に栄養を送っている冠(状)動脈が動脈硬化の為に狭くなったり詰まったりして、心筋に十分な血液が行き渡らず(虚血)発作を起こすのが狭心症・心筋梗塞です。
狭心症は血液不足が一時的なもので心筋の回復が可能ですが、心筋梗塞では心筋が壊死してしまいます。

症状は、「胸の中心が痛む」「その痛みが左肩から左腕に伝わる」「運動したりタバコを吸うと胸や背中が痛む」「胸痛は無いが何となく呼吸が苦しくフラフラしたり吐き気がする」などがあげられます。
高齢者や糖尿病の方は無症候性(無痛性)心筋梗塞という、吐き気やだるさだけで胸痛の症状が出ないことがあるので注意が必要です。
心筋梗塞は死に繋がる恐い病気ですから、心筋梗塞になる前の狭心症の段階で早期発見をして治療を始めることが大切です。

早期発見には心臓ドック(自費診療)が有効で、ホルター心電図検査やトレッドミル運動負荷試験、心エコー(心臓超音波)検査などがあります。
高血圧、脂質異常症、糖尿病、タバコ喫煙者、脳卒中や心臓病の近親者がいる方、心臓に不安がある方、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に該当する方、40歳過ぎの方は年1度の割合で検診されることをおすすめします。

脳梗塞について
脳梗塞は、前ぶれ発作ともいわれる一過性虚血発作(TIA)を起こすことがあります。
この一過性虚血発作(TIA)は、脳の血管内に血液のかたまり(血栓)ができて、詰まることにより起こる症状で、脳梗塞を起こす前の数秒から数分、ときには数時間続くことがあります。

「片方の手や足がしびれる」「体の半身の感覚が鈍くなる」「急に手足の力が抜けて持っている物を落としたり、しゃがみこんだりする」「ろれつが回らなくなる」「グルグル回る様なめまいがする」「ふわふわ浮いた様な感じに襲われる」「物につまずきやすくなった」「視野の半分が欠けることがある」「片目にカーテンがかかった様に目の前が真っ暗になったことがある」などの症状があげられます。

その症状が消えても、安心せず神経内科や脳神経外科などを受診して検査を受けておくと早期発見・予防に繋げられます。発症リスクの高い方は痛みの無い脳ドック(自費診療)を受けることをおすすめです。

脳梗塞を起こしたら、一刻も早く血管を塞いでいる血栓を取り除き、脳細胞への血液の巡りを回復しなければなりません。
発症後3時間以内にt-PAという薬で血栓を素早く溶かし、脳細胞への血液の巡りを回復する必要があります。後遺症を残さずに回復する確率を高めるためには、すぐに救急車で病院へ行き、回復のチャンスを逃さないようにしましょう。


くも膜下出血について
くも膜下出血は脳の血管が破れ、脳の外側と頭蓋骨の間(くも膜下腔)に出血する病気です。ほとんどは脳の動脈が弱くなってできたコブ(動脈瘤)の破裂によって起こります。
「ものが二重に見える」「瞳孔が見開かれた状態になったり大きくなる」「まぶたが垂れてくる」そんな気付きがあったら、注意が必要です。
特に、突然の激しい頭痛は赤信号です。突然の激しい頭痛とは、今まで経験したことの無い様な激しい頭痛や、ハンマーで頭部を殴られた様な痛み等と表現されます。
また、何時何分から頭痛が始まったと分かる程、急激にその頭痛は始まります。
それらの症状や今までに経験したことの無い頭痛が数日間続いたり、吐き気や嘔吐も伴う際は、頭痛が鎮まっても受診し、原因を確かめて置くことが大切になります。

また脳ドックを活用し、破裂する前の動脈瘤(未破裂動脈瘤)を見つけ、未然にくも膜下出血を発見しましょう。
特に高血圧の方や、タバコを吸う方、お酒の量が多い方やくも膜下出血を起こした近親者が居る方は、検診をおすすめします。40歳を過ぎたら、3年に1度くらいの割合で検診するのが適しています。

最新の予防法と治療法には「クリッピング法」と「コイル法」があります。
クリッピング法は開頭手術で動脈瘤を小さな洗濯バサミの様なクリップで挟み、血液が行かない様にする方法。安全性が高く、確実な方法ですが、頭を開ける為、患者への負担は軽いとは言えません。

コイル法は脚または腕の付け根からカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、管の中を通して白金のコイルを送り、動脈瘤に詰めて塞ぐという方法です。局所麻酔で開頭手術無しに行えるのが利点で、実施するケースは増えて来ました。
突然の激しい頭痛がある方は、注意が必要です。

肝硬変について
肝硬変とはウイルス性肝炎やアルコール性肝炎、その他の慢性的な肝臓病により、肝臓の細胞が破壊され続け、肝臓の中に繊維が増えて固くなり、肝臓の働きが果たせなくなった状態のことです。漢字で表す言葉のごとく、肝臓が硬くなり、見た目もでこぼこになります。

物質の生成や分解、排出、解毒、体液を一定状態に維持することに重要な役割を担っている肝臓は、沈黙の臓器ともいわれ、障害が起こってもなかなか症状が現れません。
肝硬変になっても、病状が進行しなければ白目や肌が黄色くなる等の症状は出ません。

この肝硬変の原因は大きく分けてウイルス性肝炎と脂肪肝です。肝硬変の合併症の一つに、肝臓がんが発生し易くなることがあります。
C型肝炎ウイルス約70%、B 型肝炎ウイルス約20%のウイルス性肝炎感染による肝硬変は約90%、飲酒によるものが約5〜10%。
また最近ではNASH(非アルコール性脂肪肝炎)という、お酒を飲まない人が脂肪肝になることで発症する肝炎が肝硬変の原因の一つであることが分かってきました。
NASHは食べ過ぎや運動不足が原因です。生活習慣病と密接な関係があり、近年増え続けています。

肝臓の細胞の30%以上に中性脂肪がたまった状態が脂肪肝です。脂肪肝の多くは進行しない良性の病気と考えられていましたが、脂肪肝から肝臓に炎症が起きて脂肪肝炎を発症すると、肝硬変や肝臓がんに進む危険性があります。

ウイルスに感染しB型・C型肝炎になると20〜30年かけて肝硬変、肝がんへと進みますが、慢性肝炎の段階で治療すると完治するケースも増えてきています。

B型肝炎は主に抗ウイルス治療で薬を使ってウイルスの増殖を抑えます。インターフェロンをはじめ、エンテカビル、ラミブジン、アデホビルピボキシルなどの薬が用いられます。
C型肝炎ではインターフェロンが治療の中心。最近では新しい治療法が登場しており、ペグインターフェロン・リバビリン併用療法が2004年に承認されてからは半数の人が治癒するようになりました。

肝硬変の治療には症状の有無で代償性肝硬変と、非代償性肝硬変の治療法があります。
代償性肝硬変で症状が出ないタイプの治療法は、薬やビタミン剤の服用、カロリーに配慮したバランスの良い食事等です。最近ではウイルス性の肝硬変に抗ウイルス療法などの原因療法が試みられています。アルコール性であれば禁酒が原因療法になります。

黄疸や腹水、脳症等の症状が出る非代償性肝硬変の治療法は肝性脳症や腹水、食道・胃静脈瘤などですが、いずれも症状を抑える対症療法が中心です。最近では肝移植も選択肢の一つになってきました。

親や配偶者が肝炎ウイルス保有者、1992年以前に輸血、血液製剤の投与、および過去に針治療を受けたことのある方はウイルスマーカー検査(血液検査)を早めに一度受けることをおすすめします。

また健康な方も年1回肝機能検査(血液検査)を、また血液・尿検査の数値が悪かった方や、飲酒機会が多く太っている方、近親者に肝臓病の人がいる方や肝臓を悪くしたことのある方は、画像検査(超音波検査、CT検査、MRI検査)を年1回、特に肝機能検査の数値が悪かった方はすぐに、検査を受けられることをおすすめします。
自覚症状を待つより、血液検査や画像検査等の検診を積極的に受け、早期発見に努めましょう。

慢性腎臓病について
慢性腎臓病は進行すると透析治療が必要となるだけではなく、最近、心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳梗塞を起こしやすいことが分かって来ました。特に高血圧や糖尿病の人は動脈硬化が進みやすく、危険性が高くなります。

血液をろ過して老廃物を尿として排出したり、その中から必要な物質を再吸収して体内環境を整えるなど重要な役割を担っている腎臓は、肝臓と同様に「沈黙の臓器」といわれていますので、初期段階では自覚症状はほとんど現れません。
毎日、尿の色などを確認して「泡立ちが消えない」「尿の色が茶色かかっている」などの場合は、腎機能の異常の疑いの可能性があります。

治療の基本は生活・食事指導(たんぱく質、食塩、カリウム、エネルギー摂取量の制限、禁煙など)と薬物療法による血圧や血糖のコントロールです。著しく腎機能が低下して腎不全を起こした場合は透析療法が必要です。

4〜5時間掛け週に2〜3回医療機関で行う血液透析は、血液を腕の血管から体外の装置へ送り込み、透析膜で血液中の老廃物や余分な水分を除去し体内へ戻します。

また腹腔に透析液を注入し腹膜の毛細血管から老廃物や余分な水分を透析液に浸透させて、排出したのち透析液のバッグを交換し新しい透析液を注入する腹膜透析は、透析液の交換に1回30分程かかり1日3〜4回自分で交換しますが、通院は月に2〜3回で済みます。

検査方法は、健康診断で広く行われている尿検査や血液検査(血清クレアチニン検査)があります。自覚症状が現れてからの改善は困難な病気ですので、できるかぎり早いステージでの発見と治療を目指すことが重要です。
早期発見により症状の改善に取り組むことで、健康な毎日を取り戻すことは十分可能になります。







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